迷い猫

適当に目についた本を読んで難しい顔してます。読んだ本を重ねて、そこから見える世界を楽しみたい

疑似体験について「ルーシー&スティーブンホーキング/宇宙に秘められた謎」

読みました。ホーキング親子が書いた宇宙に興味を持つ少年少女大人の話。

このあいだ『宇宙兄弟』を読んだときに思ったのですが、この手の本を読むと天文学とか学んでみたいと思ってしまいます。 

ホーキング博士のスペース・アドベンチャー (2) 宇宙に秘められた謎

ホーキング博士のスペース・アドベンチャー (2) 宇宙に秘められた謎

 

 

 

 

宇宙への秘密の鍵

宇宙への秘密の鍵

 

 シリーズ二作目を読んだ時点で感想を書いています。今は三作目も出ているので早く読みたい。

 

内容は、主人公の男が、スーパーコンピューターを使って宇宙に出ていき、様々なことを体験する話です。一巻目では彗星に乗り、二巻目では火星に行ったりします。余談になりますが、読みながら、なぜ、とても危険な星に少年少女だけで行く勇気があるのかと不思議に思いました。

 

  本の筋から離れてしまうのですが、読みながら、読書による疑似体験について考えました。

 人が何かを覚えるときは入力が伴います。見たり聞いたりして何かを得ます。ただ、得る方法に違いはあります。例えば水の沸点が100℃という事象があります(圧力に関しては私たちが普段生活しているものと同じです)。これを読んで覚えることができます。また、実際に沸騰している水に温度計を差し込んで測って知ることができます。前者は暗記、後者は体験と考えていいですかね。

 では、小説の中の登場人物が温度計で測って知った場合、それは暗記と考えるのでしょうか?それとも登場人物と気持ちが一体になっているとき、体験になるのでしょうか?

 すごく味気ないことを言ってしまうと字面で覚えるので暗記に近いものだと思います。ただ、とても感情移入をしている場合、それは疑似体験のようになるのかとふと思いました。もしそうなら素晴らしいと思いますし、また、そんな読書をしてみたいと思いました。

侵略と故郷「上橋菜穂子/鹿の王」

 明けましておめでとうございます。またひっそりと書いています。

 先日の紅白の審査員で上橋菜穂子さんが出ていましたね。昨年読んだ小説で上橋さんの小説が1番思い出に残っているので、すごい人がでてると驚きました。

 昨年の暮れに鹿の王の上巻、明けに下巻を読みおわり、今回はその感想です。表紙がきれいです。

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐


 鹿の王で登場する主人公ヴァン。人生を捨てる場所を探しているところと命に対する姿勢に惹かれます。物語の後どうなったか、本を閉じて想像し、幸せな人生になることを祈りました。まるで「ソフィーの世界」のソフィーみたいですね。

 さて、タイトルに侵略と故郷としましたが、鹿の王には、様々な組織が登場してそれぞれの思惑が働きます。まるで現実の外交のように駆け引きがなされます。そして、その組織(正確には民族の集まり)の中には、侵略後の政治によって、故郷を離れなければいけないところがあります。

 生まれた土地、育った土地への愛着、その土地を離れることになった憤りや哀しみ。自分は故郷がなくなったら哀しいです。

  獣の奏者が外伝が出たので、鹿の王も出ますかね。出たらヴァンと妻と息子の話が読みたいです。

手紙のような新書「益川敏英/素粒子はおもしろい」

図書館をそぞろ歩きしていて目についたので借りてきた本です。

 

素粒子はおもしろい (岩波ジュニア新書)

素粒子はおもしろい (岩波ジュニア新書)

 

 

 

今年は梶田さんがニュートリノが質量を持つことを発見し、ノーベル物理学賞を受賞しました。この著者は2008年ノーベル物理学賞者です。

岩波ジュニア文庫ということで、非常に読みやすい文章です。コラムや用語解説が豊富で、量子力学の話だけでなく、科学全般の話があります。

第7章『科学の役割と私たちの学び方』の冒頭で

ところで、最後に、21世紀を生きていくみなさんに、科学を学ぶ意味と姿勢について、お話ししておきたいと思います。

最後のページでは

このように科学はある現象を肯定するために、これはおかしい、こういうノイズが入っている可能性があるというような形でほかの可能性を取り除いていく作業をやっています。

とあり、科学的な物事の考えがどのようなものかを教示しています。コラムの記載からうかがえる人間味やこのような一般論に近い内容の語りを読むと手紙のような文書だと感じました。この本を読んで科学者になろうとか思った子がいたらおもしろいですね。

 

ただ、難解な話はさらっと「そのようなものだ」という具合で書かれているので(書かざる得ないので)、自分なりに気になるところは調べる必要があると思います。数学の話はわかりますが、物理の話は素人なので、それを一度基礎から積み上げて量子力学に挑戦したらいいのかと思いました。

 

 儚さと幸福『上橋菜穂子/獣の奏者刹那』

久しぶりに小説を読みました。

 旅人シリーズと獣の奏者4巻を読んでいたので続きを読みました。短編が3作収録されています。

獣の奏者 外伝 刹那

獣の奏者 外伝 刹那

 

 私自身、幸せだと思っても、これが薄氷の上のなのかと思う時がたまにあります。今は一瞬の幸せなのかと。いつか自分が取ってきた選択が間違いだったと思う時がくるのかと。

 

一話目のエリンとイアルの話を読みながら、そんなことを考えていました。一話目、エリンとイアルの出会いからジャシの出産までの物語と出産の瞬間の物語が交互に語られます。

 

エリンの起こした行動に、後悔するイアル

 

思い返せば見えることが、なぜ、そのときには見えないのだろう。

人はいましかつくれない。

あっというまに時は過ぎ、過ぎてしまったすべてはあきらめるしかないのだ。 

 ただ、これは過去の場面での思い。今では

過ぎてきたすべてが、おれをいま、ここにおいている。

悔いは、抱いていけばいい。

とても強い言葉。奏者シリーズは儚なさがある物語ですが、芯の強さがあると思っていて、そのことがとても感じられるイアルの思いです。

 

いつかもし今までの選択を後悔することがあったら、この言葉を思い出したいですね。

 

大事なものはすぐそこに「ショーンタン/レッドツリー」

ショーン・タンのレッドツリーです。読んだのはだいぶ前ですが、絵の勉強ということでもう一度、読み直しました。

 

レッドツリー

レッドツリー

 

 

 
 
最初読んだ時よりちゃんと読むと感動しますね。
 
全体として鬱蒼としているのですが、その分最後のもみじがとても明るく印象的です。
でも、今回読み直してどの絵にももみじが書かれていることに気がつきました。すごく明るい色なのに周り風景に隠れてしまっていて気がつきませんでした。
 
自分の普段の気持ちもこのようなものかとふと思ったり。
 
嫌な事とか大変なことがあるとその気持ちが大きくなって、すごくうれしいことと楽しいことが埋もれて感じれなくなる時がたまにあります。そんなときこの絵を見たように、ただ何となく流すのでなく、感覚を研ぎ澄ませば気がつくのかもしれません。
 
 
 
 

歴史は繰り返す『世界史の極意』

読みました。世界史の極意 。

帯は『佐藤優、初の世界史入門』。佐藤さんの著書をよく見ますが実際に読むのは今回が初めてなので、得意分野を知りませんでした。歴史というより社会学が専門のような気がします。


世界史の極意 (NHK出版新書 451)

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

 

 本のテーマはアナロジーを使って歴史を考えようということ。アナロジーは日本語というと「類比」です。歴史の本では、歴史は繰り返されるとよく謳われていますが、それと同じ意味と思って読みました。

そしてこの本の目的は驚くべきことに『戦争を阻止すること』だそうです。

とても壮大なトピック。人類のテーマでもあるかもしれません。

 

 

第1章が「新・帝国主義について」

1800年台後半から第一次世界大戦までは帝国主義。現代を新・帝国主義を捉える。帝国主義の終焉が戦争であったのが、新帝国主義はどのようになるかということ。

 確かに現在イスラム国に対するロシアからの空爆イスラム国からの欧州に対するテロがあり、緊張状態です。この時代をどうするか。

難しいことですね。


第2章 民族問題を読み解く極意

ハプスブルク帝国を中心とした中東欧とロシアの民族問題をみる。アナロジーを使ってなにを得るか。ウクライナ情勢と沖縄の問題がナショナリズムの問題であるということか得られるそうです。

本書では、ウクライナの説明にページ数が使われていますが、私の印象のは沖縄の話ですね。

沖縄の地に自分達のルーツがあるという意識。単に不平等感や不満から、基地問題が今の話の大きさになったわけではないのだと思いました。

第3章 宗教戦争を読み解く極意

前2章に比べると戦争を阻止するというテーマではこの問題はつかみやすいですね。ちなみに新帝国主義が1番つかみづらかったです。

この章の目的は宗教に関する基礎知識を身につけて、現代の宗教対立を読み解くこと。です。

取り上げる事例はイスラム国とバチカン市国です。宗教は国境、民族を超えた仲間意識を生みます。本書では、イスラム対策として、イスラムへの帰属意識より民族意識を重視させることで浸透を防ぐことができるとありますということ。

私は何かに対する帰属意識が薄いのでそのようなものかと思いましたが、個人のアイデンティティとか生の意味のよりどころに民族意識や宗教意識はなるけど、なにかしら帰属意識が一つあれば落ち着くものなのでしょうか。


第4章 戦争は阻止できるか

「 啓蒙への回帰」と「見えない世界へのセンスを磨く」ことが戦争の阻止につながるということ。

  ここで初めて理解しましたが、合理主義や資本主義に対する警鐘をならしていたのかと思いました。


 慣れない分野のは難しい。もう少し知識をつけたらもっと理解が深まるのかなと思っています。



難しい本に挑戦『世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて』

 先週から『世界共和国へ』を読んでいてつい先ほど読み終わりました。

 この本は、『世界史の極意』(佐藤優著)を読んでいて紹介されていたので、ためしに読んでみました。

 

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

世界史の極意 (NHK出版新書 451)

 

 岩波新書であまり得意でない分野の本であったこともあり、難航する読書。わからないながらも感想を書き綴ります。解釈が合ってるとはとても思えない。

 

おそらく、人の行き来ががどんどん広くなっていくという話。

「互酬」という交換様式を持ちいる共同体がある。その共同体同志を争いを防ぐ国家が出現する。資本主義が拡大し、人が土地に縛られことなく世界を移動する(共同体からの離脱)。

 

ここまでは読めた気がしますが、次からの解釈が不安。

 

国家に疑問があり、国家は主権をもっと上に投げる。上で主権を受け止めるのが「世界共和国」である。

 

読んでいて、国家の疑問について、ほとんどわからず、世界共和国の必要性についていまいち読み取れなかったです。おそらく本書で幾度となく登場している交換様式を使ったら問題点があるのかと思うのですが、なかなか分からず。

今度この本を手に取るときはもっと忍耐力がついていたらいいなと思います。

 

 

読書一般の話ですが。

難しいと思った瞬間、その本をどうしようか迷います。

     本を閉じるか  とりあえず読み進めるか

私は読み進めてしまうのですが、著者の言っていることがわからないと悲しいものです。

いつかまた読みたいですね