迷い猫

適当に目についた本を読んで難しい顔してます。読んだ本を重ねて、そこから見える世界を楽しみたい

手紙

定期的に私に小説を貸してくれる人から借りました。今まで誰からか借りることが少なかったので、本を通して人とつながることができるのは、楽しいですね。貸してくれる本も暖かい本が多く、貸してくれる人の人となりを感じています。

 

〈あらすじ〉

鎌倉で代筆屋を営む主人公が代筆屋としての仕事を通して、他者と関わりあい、かつて仲違いをした人とのことを思い返えしていく話。

 

〈代筆屋としての仕事〉

てっきり代筆屋って、もととなる文章を渡されて、ただ文字を書くだけかと考えていたけど、そうではないんですね。内容も考えて書いていて、難しい仕事だと思います。一通の手紙で、そこに書かれた言葉によって、誰かと誰かが仲良くなったり、不仲になったりして、心に敏感でないと出来ないと思いましたね。

 

〈日常的な暖かさ〉

物語のなかで人物はいい人ばかり。激しい喜怒哀楽の感情描写はありません。いい争いも先代と主人公の過去の場面のみで、単調な話のように感じもしました。一方で、話全体で四季を楽しむ姿、人との他愛のないやりとりが日常的で、心が落ち着く物語でした。その分、文を書く場面は真剣そのもので、普段私たちがしている行動ですが、代筆屋としての重みや誇りを感じらました。

 

所作の美しさというもの感じます。