儚さと幸福『上橋菜穂子/獣の奏者刹那』
久しぶりに小説を読みました。
旅人シリーズと獣の奏者4巻を読んでいたので続きを読みました。短編が3作収録されています。
私自身、幸せだと思っても、これが薄氷の上のなのかと思う時がたまにあります。今は一瞬の幸せなのかと。いつか自分が取ってきた選択が間違いだったと思う時がくるのかと。
一話目のエリンとイアルの話を読みながら、そんなことを考えていました。一話目、エリンとイアルの出会いからジャシの出産までの物語と出産の瞬間の物語が交互に語られます。
エリンの起こした行動に、後悔するイアル
思い返せば見えることが、なぜ、そのときには見えないのだろう。
人はいましかつくれない。
あっというまに時は過ぎ、過ぎてしまったすべてはあきらめるしかないのだ。
ただ、これは過去の場面での思い。今では
過ぎてきたすべてが、おれをいま、ここにおいている。
悔いは、抱いていけばいい。
とても強い言葉。奏者シリーズは儚なさがある物語ですが、芯の強さがあると思っていて、そのことがとても感じられるイアルの思いです。
いつかもし今までの選択を後悔することがあったら、この言葉を思い出したいですね。